持ち手が付いておらず、日本の湯呑みを大きくしたような形の、通称「ネイビーウォッチマグ」をアップしました。
ネイビーウォッチマグはU.S.Navy(アメリカ海軍)が船の中の食堂で使うために作らせたもので、1800年代の終わり頃からその存在が確認されています。
同じように持ち手の付いていないマグカップとしては、Corning社のミルクガラスのものも有名で、こちらは探せばまだ結構見つかります。しかし陶器製のものは、ShenangoやVictorをはじめ、様々なメーカーが製造を担っていて、かなりの数を納入していたはずなのですが、どういうわけか現存数は少なくて希少です。
ネイビーウォッチマグの特徴は、とにかく「分厚くシンプル」という点に尽きます。これだけ厚みがあれば、多少の衝撃程度では割れませんし、またちょこっと当てて壊れてしまうような持ち手は、はじめから付けないというスタンスです。
なお厚手にした場合は保温効果もあって、温かいものは冷めにくく、また手を温めるのにも適しています。船中の食堂の狭いテーブルの上では、スープカップ兼コーヒーマグといった使われ方もしていたのではと想像しています。
現在アップしているものは、製造が1920~1950年代と、かなり古め。多少のダメージや経年変化はあっても、日常的に使われていたはずの業務用の食器が、実用できるコンディションのまま今の時代まで残されているというのは、実はかなりすごいことなんです。
特殊な環境での使用を目的として作られているため、自宅で使うとなるとデメリットが目立ってしまうかもしれませんが、そんな負の部分を補って余る魅力があります。ヘビーウェイトマグがお好きなお客様はもちろん、ミリタリーアイテムや古い食器がお好きなお客様はぜひご覧になってみてください。