古いガラスの質感やバリエーション豊かなところが好きで、メイソンジャーをいろいろ集めてきた。僕はコーヒーが好きだから、ジャーは主にコーヒー豆の保存に使っているのだけれど、使っているうちに気になることが出てきた。
直射日光ではないにせよ、ジャーは透明なガラスだから、コーヒー豆に多少の光は当たる。これって品質には影響ないのだろうか?すぐに調べてみたが、やっぱり日光は避けたほうがいいみたいだ。
ということで、早速ジャーの置き場所をかえてみた。そうしてしばらくしたある日、鳥越にある蕪木さんでいいものを見た。お茶っ葉を入れるのに使われるあの「茶筒」に、コーヒー豆を入れて保管しているではないか。話を伺ってみると、やはり密閉性と遮光性が高いので、コーヒー豆の保存に茶筒はおすすめだとおっしゃる。
ということで仕入れたのがこちら、金属加工業が盛んな新潟県燕市において七代続く鎚起銅器の老舗玉川堂(ぎょくせんどう)の茶筒になります。
今や世界に知られるブランド玉川堂の銅製品は、一枚の銅の板を鎚で叩き起こして作られる。銅らしからぬ黒っぽい色味は、玉川堂が独自で開発した着色技法によるもので、光の当たり方によって青~緑~紫に輝く。「紫金色(しきんしょく)」と名付けられたこの色は、銅の表面に錫(スズ)を焼き付けた後、硫化カリウム等の液体に漬け込むことで生まれるそうだ。
本体の内側は錫引き(スズによるメッキ)が施されているが、これは銅の腐食を防ぐためのもの。気持ちよく使えるよう、研磨剤を含まないコンパウンドで内外ともに入念に研磨してあるので、お茶っ葉、紅茶、コーヒー豆の保存に、ぜひ使って楽しんでもらいたい。